エッセイ 一般
メルボルンの蝿
メルボルンの人々は住宅内に虫が入るのを嫌い、網戸をしっかりと取り付けている。夏になってその理由が実感できた。蝿である。日本の蝿と違い、ワイルドでしつこい。12月に外を散歩していると群がってきて、手や帽子で追い払ったところで効果なし。雨がパラパラと降って湿気の多いときは、彼らの世界である。まとわりつくだけでなく、こちらの耳の中に入ろうとするのもいるから、邪魔なこと極まりない。オーストラリアの蝿は野性的である。
もっとも人間の方もなかなかで、私の知人は家の中に入った蝿を手で捕まえる。蝿の飛ぶ方向を予測して後方から捕まえるのだが、下から斜め上方向にすくい上げる格好でつかむ。すると、今度は台所に行き握った手の上から水道の水をかける。羽がぬれて飛べなくなるので、そのまま流してしまう。
すごいのは人間だけではなく、防虫スプレーも効果抜群でまさに蝿を「撃墜」。まるでコマーシャルの世界で、なぜあれほど効くのか不思議なくらいである。