BALLプロジェクト(Be Active through Lifelong Learning)
日本のシニアの皆さまへ
日本のシニアの皆様へ
BALLプロジェクト「生涯学習を通して活発な生き方を(Be Active through Lifelong Learning)」は、アイスランドのNPO法人U3Aⅰ ReykjyavikのリーダーシップのもとEU(ヨーロッパ連合)加盟三か国、アイスランド、ポーランド、スペインの見事な協働の成果であり国際的に高い評価を受けています。
本プロジェクトはEUの Erasmus+ programⅱ の助成を受けて実施されました。当初考えたのは「人生の後半期、とりわけサードエイジを迎えるには何を準備したらよいのか」という問いでしたが、振り返ってみるとこれら三か国のパートナーシップで実施できたことはプロジェクトの成功を約束するものでした。参加国は、ヨーロッパにおける地理的特性、文化や伝統の多様性、社会システムの違い、そして、老いや高齢化についての考え方などにおいて多様性を広範に代表していたからです。多くの具体的なガイドラインや推奨事項を盛り込んだプロジェクトの報告書『ダイナミックなサードエイジに向けて』は、ヨーロッパの人々にとって活動的に・前向きに年を重ねることを提案すべく実施された、活発な意見交換、多くの調査、国家間比較研究の結果をまとめたものです。
2016年にガイドラインを掲載した本報告書を公表して以来、本書の内容には広範な関心と支持が示され、、世界中の団体や個人から賛同のコメントを頂戴しております。とりわけ光栄なことにプロジェクト評価をパスした後、2017年にアイスランドにおいてErasmus+ Quality Awardを受賞でき、本プロジェクトの成果を誇らしく思っております。
BALLプロジェクトの提言を実装すべく、U3A・Reykjavikが継続的にリーダーシップをとりながらアイスランド、リトアニア、イギリス(連合王国)が連携しプロジェクトが推奨するステップのうち2つを組み込んだ“Catch the Ball” という新たな取り組みがはじまっています。今回もEUのErasmus+ programが“Catch the Ball”を支援しています。この新プロジェクトは現在最終段階に進んでおり、“機会のアカデミア(Academy of Opportunities)” が構築されつつあります。これは、成人教育の指導者や相談指導に関わる人たちを対象とするガイドラインと受講プログラムを提供します。BALLプロジェクトの元々の成果であるもう一つのモデル“機会の倉庫(Warehouse of Opportunities)”は、50歳以上の人々を対象に、人生の後半を生き生きと豊かに過ごすための情報や複合的コンテンツの提供先をリンクしたウェブサイトです。は2つのBALLの機能を備えた“機会の大学”という完成形になっています。ガイドラインとコースプログラムは、成人の教育に携わる人向けとなっており、機会の倉庫は50代以上を対象とし、利用者が人生の後半を豊かに過ごせるようにする、機会や複合型のコンテンツを提供するウェブサイトの形式になっています。ヨーロッパ全体向けの倉庫(英語)、アイスランド倉庫、リトアニア倉庫、イギリス倉庫の4タイプがそれぞれの言語で開設されています。
BALLプロジェクトの遂行とその成果の普及に関わり、とりわけ私どもの考えやガイドラインが世界中で広く普及しつつあることは大変名誉なことと受け止めております。BALLプロジェクトに関心を寄せて日本語訳に取り組んで下さいました木下康仁教授へ、心より感謝申し上げます。日本の読者の皆様が、本報告書を楽しんで読まれ、私どものアイデアや方法に価値を見いだされご自身の生活や仕事に有益に活用されることを願っています。こちらのリンクから、発展を続ける“機会の倉庫”へどうぞお越しください。率直な感想を寄せて頂けますと幸いです。
https://warehouseofopportunities.eu/
2019年3月10日
Dr. Hans Kristjan Guomundson
U3A Reykjavik 代表 (アイスランド)
ⅰU3Aは、University of the Third Ageの略。主として退職世代による自律的な学習活動で、イギリスにおいては全国にネットワークがあり、第二次世界大戦後もっとも成功している市民運動と言われている。詳細は『シニア 学びの群像:定年後ライフスタイルの創出』(木下康仁著、弘文堂、2018)を参照。
ⅱErasmusは、European Region Action Scheme for the Mobility of University Studentsの略。大学生の域内移動の推進を目的とするEUのプログラムで、Erasmus+の「+」はシニア層を指す。生涯学習、成人学習の交流と発展を目的とする。